2025.11.12

2025年11月、台湾・台東県金尊港で開催されたWQS6000「QS6000 台湾オープン・オブ・サーフィン大会」は、アジア最大級のグレードと格式を誇るQSイベントとして、多くの注目を集めました。大会レベルの高さ、世界中の強豪選手の熱戦により、今後のWSL(ワールド・サーフ・リーグ)クオリファイング・シリーズ、さらにはチャレンジャーシリーズ(CS)に向けても大きな意味を持つ大会となりました。
会場となった金尊港は、台湾でも有数の良質な波を誇るサーフスポット。11月の大会期間中も、早朝にはクリーンなブレイクが見られる一方、時間が経つにつれサイドオンショアの影響が強まり、参加者には波選びとテクニカルな演技力が求められました。波質はレフトブレイク主体、グーフィーフッターに有利とされ、エントリーには新世代サーファーを中心に多数のトップ選手が名を連ねました。

女子部門ではオーストラリアの15歳、ルーシー・ダラーが驚きのパフォーマンスを発揮しました。セミファイナル第1ヒートで確実にファイナル出場を決め、ファイナルではニュージーランドのサフィ・ヴェットを相手に、5.17と6.67をスコア。合計11.84点で圧勝。これによりルーシーは今季2度目のQS主要大会制覇となり、リージョンランキングトップへ躍進しました。「今季出場を迷った大会で2勝できて、仲間への感謝しかない」と大会後は喜びを語っています。日本からは野中美波が堂々3位入賞。セミファイナルでサフィ・ヴェットと対戦し、バックハンドのビッグターンで5.50・4.50をマーク。終盤まで攻め続ける姿勢を見せましたが、ヴェットのエクセレント8.17にはわずかに及ばず惜敗。しかし3660ポイントを獲得し、QSランキング上位へと大きく躍進する結果となりました

男子部門ではリーフ・ヘイズルウッド(オーストラリア)の実力が際立ちました。準決勝で伊東李安琉(日本)はザビエル・ハクスタブルと対戦し、最初から高得点を重ねヒートを支配。6.67、5.50で主導権を握ると、後半も6.17や6.33を着実に重ねて、見事ファイナル進出を決定。「QS6000で初ファイナル、本当に嬉しい」と喜びを語りました。
ファイナルではグーフィーフッター同士の対決。ヘイズルウッドは5.33と強烈な7.50のビッグターンを決めてリード。伊東も5.67、4.83と粘るものの、波の選択に苦しみ及ばず。最終スコアは12.83点を記録したリーフ・ヘイズルウッドが優勝を飾り、伊東李安琉は準優勝となりました。伊東はQS6000でキャリア初の2位入賞、4,680ポイントを獲得しています。
リーフ・ヘイズルウッドは「今季2度目のQS6000優勝は特別。途中で競技継続に迷いもあったが、家族やチームの支えで十分な成果を得られて本当に感慨深い」とコメント

今大会は「ボンソイ・アジア・スーパーシリーズ」最終戦も兼ねて開催され、男子は小林桂(日本)、女子は中塩佳那(日本)がシリーズチャンピオンに輝きました。中塩佳那は準々決勝敗退となりながらも、今季3番目の好成績、小林桂は今大会では上位進出はならなかったものの、年間を通じた安定した結果で総合タイトルを手にしました。
大会の意義と日本人選手の活躍
QS6000「台湾オープン・オブ・サーフィン」はアジアサーキットの中でも最高峰となりつつあり、日本人選手にとっても飛躍の舞台となっています。伊東李安琉や野中美波を含む若手選手は、波のコンディションや国際舞台特有のプレッシャーを乗り越え自己最高の成績を収め、2026年のチャレンジャーシリーズへ期待を繋ぐこととなりました。
また、今大会結果によりアジア/オセアニアリージョンのQSランキング争いにも大きな変動が生まれました。男女ともに次回シーズン以降のチャレンジャーシリーズ、さらにはワールドツアー出場へ向けて、日本勢をはじめとするアジアサーファーの巻き返しが予感されます
• 男子優勝:リーフ・ヘイズルウッド(AUS)
• 男子準優勝:伊東李安琉(JPN)
• 女子優勝:ルーシー・ダラー(AUS)
• 女子準優勝:サフィ・ヴェット(NZL)
• 女子3位:野中美波(JPN)
• シリーズ男子王者:小林桂(JPN)
• シリーズ女子王者:中塩佳那(JPN)